エネルギー
結局、石油がわれわれの世界を狂わしているのか。
代替エネルギーについて、難しい、夢物語、といっているうちは何も動かない。
環境エネルギー政策研究所
http://www.isep.or.jp/
の飯田哲也さんが訳された「エネルギーと私たちの社会」は必読。
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「訳者の言葉」飯田哲也氏
50年後はどのような社会だろうか。モノに溢れ格差の大きい「豊かな社会」 か、それともゆとりと社会的公正で「満ち足りた社会」か。本書は、「高エネルギー 社会」と「低エネルギー社会」という2つの未来像を対比しながら、50年後に私たちの暮らしと社会がどのように変わりうるかについて、暮らしを取り巻くエネルギーを 通して描き出したものである。「高エネルギー社会」とは、国内総生産(GDP)成長のために物質的な生産と消費が今後も拡大される社会である。「低エネルギー社会」とは、人々が満ち足り、社会的公正や人々との交際、ゆとりなどに価値を見いだす社会である。 本書は20年前にデンマークで出版された。当時のデンマークは、1960年代からの高成長ののちに2度にわたる石油危機でエネルギー政策の変更を余儀なくされていた。経済成長を維持するために原子力を大量に導入しようとする政府と、それに反対し自然エネルギーを求める市民運動が鋭く対立していたところに、本書は「もう十分ではないか」という第3の選択肢を提起してベストセラーとなった。その後、成熟社会へと大きく転換したデンマークのエネルギー政策に、本書は大きな影響を与えた。
当時のデンマークに今日の日本は2重写しとなる。経済成長のために、政府は返すあてもない借金で無駄な公共事業を拡大し、「空から金をばらまいて」まで消費を促す経済学者もいる。そうした経済成長社会が必ず行き詰まることを本書は教えるばかりか、すでにワークシェアリングなどの処方箋も提示している。
持続可能な社会に向けて、私たちが自分自身の暮らしを見つめ直し、価値観を問い直し、同時に社会に働きかけていくことによって、一人一人の力で社会と未来を大きく変えることができると著者は指摘する。常に「上」から、そして「供給側」からエネルギーが語られる日本では、中高生から大人まで本書は類書なきエネルギー入門書となるだろう。クラウス・デローレンの挿絵も楽しく機知に富んでいる。本書は、現代の日本社会にこそ必要とされている「未来書」である。
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