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2002年9月13日 (金)

日本から失われてしまう前に


「たそがれ清兵衛」の試写会に昨日行ってきた。山田洋次監督70歳にしてついに念願の時代劇を撮る。時代考証を厳密にやり幕末の東北の生活感を徹底的に出そうとする態度が素晴らしい。そして山田監督の世界はやはり時代劇のほうがフィットすることも確か。まだまだこういう作品を撮りつづけて欲しい。

真田広之の素晴らしさはもう今更言うまでもない。今回は殺陣もまた素晴らしい。これもリアルなものを目指したそうで、相手役となる大杉漣、そしてなんと言っても田中泯の物凄さ! 役者として演技をするのは初めてというこの1945年生まれの舞踏家はホンモノの日本人である。世界的な舞踏家であり、本格的な農夫である田中泯。新人です、と舞台挨拶した彼の謙虚と豪胆が同居した面構え、惚れ惚れした。この人を見るだけでもこの映画見物には数万円の価値があると私は思う。
彼の田圃でとれた米を使った酒がある。
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「御日待家」という。

清兵衛は百姓仕事や内職をしながら病気の妻母、そして二人の幼い娘を養っている。そうしないと食べていけない平侍である。田中泯扮する余五善右衛門という侍もまた苦しみを抱えて生きてきた侍である。

宮沢りえがまたいい。着物のさばき、さまざまな動き。「遊園驚夢」では芸人で清末の世界の没落していく貴族の第五夫人となる女、にしか見えない動きをしていた。今回は200石取りのお嬢様ながら夫の暴力で離縁した、強烈な意志をもつ幕末の女性にしか見えない。ことさらな演技はない。だがえもいわれぬ存在感がある。こういうのを演技と言い、こういう人を女優というのである。

日本から失われてしまう前に。いま、ぼくたちは可能性の塊のなかにある。この瞬間瞬間が、大切な復活、再生、そして新生と誕生のときなのだ。そのはずなのだ。励まねば。道は見えているのだ。

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