伝統芸能
ぼくは昔から好きなので歌舞伎だ落語だってよく見るけれど、そういう機会がない人も多いと思う。できればそういう機会を作っていただければ、と思う。
その意味で三味線や狂言がブームになることはよいことだ。これらの文化を、今までの辛い歴史の間じゅう、理不尽な弾圧に耐えながら残してきた先人たちの気持ちは努力は実に実に尊いものだと思う。伝統芸能の世界で上からの押し付けに苦しんでいますなんて人に、伝統なんて何の役に立つ、今の世の中にそんなの通用しないよ、というようなことを言う人がいうが、そうした耳に心地よい意見はどんな世にも百害あって一利無しと思われる。伝統が有無をいわさず力を持っている世界でしか、アヴァンギャルドは生まれない。あたりまえのことだ。
アメリカは必死に伝統をつくりだそうとしてきた国だ。だからハリウッドやブロードウェイには力がある。そういう形で伝統と戦ってきたからだ。そして彼らの伝統は淵源をたどればヨーロッパやアフリカ、アジアにつながる、なんと言うかヴァーチャルな伝統だが、ヴァーチャルでありながら、というかヴァーチャルであるからこそ実にセメントなガチンコな世界なのだ。その意味ホンモノの伝統なのだ。
日本といえば、日本国内で育った伝統以前に中国や朝鮮や中東などから受け継いだものを伝統の土台に育て上げたという経緯がある。歴史的に言えば日本のほうが少し古い。古い分強い。だから、アメリカはどちらかといえば不幸な国なのだ、実は。
日本はすごいと思う。若い才能にいたるまで、きちんと伝統は生きていると思う。伝統なんかなんだ!といまさら反抗する人間がいるなんてスゴイ。ここまで完膚なきまでに叩き潰された文化なのに。新しいアーティストを楽しむ。古い日本語芸を楽しむ。韓国の芸を楽しむ、アメリカの芸を楽しむ。
日本人であることを楽しむ。
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