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2003年5月 3日 (土)

芸能の力


近松座の「関八州繋馬」を見てきた。近松の最後の作品である。人形浄瑠璃の大作で、歌舞伎としては昭和四十五年に一部が復活上演されただけで、今回が本格的なかたちでの初演ということになるようだ。平将門の娘小蝶を中心としたストーリーに構成されていた。将門が滅ぼされたあと、源頼光を仇と狙う将門の一子将軍太郎良門とその妹小蝶。小蝶は殺され、土蜘蛛の精と合体して亡霊として復活する、というような話なのだが葛城山の土蜘蛛といえば古代日本で天皇家や藤原氏と敵対していた古い豪族の寓意。それと将門の遺児たちが合体し、源氏と戦う、という反逆者物語である。将門、土蜘蛛は敗北していった日本の土着の勢力、源氏は当然源氏の子孫を名乗っていた将軍徳川家を思い起こさせる。人形浄瑠璃は江戸時代の庶民の楽しみ、歌舞伎へ翻案された作品も多く、傑作の数々の台本は複雑巧妙に構成され、見せ場に溢れている。作者は時代の空気の中、全力を尽くして受ける作品を造り出して行く。江戸の庶民は徳川の平和を満喫していたはずだが、この作品や仮名手本忠臣蔵などの世界を見ていると、徳川だとか武士だとかに対する心の平和は芸能の力によって保っていたのだろうなあと邪推せらるる。そういえば江戸日本橋生まれの歌舞伎台本作家四世鶴屋南北の最後の作品「金幣猿島郡」もねたは将門だ。
南北と近松では生きた時代も場所も違う。だからこそ面白い符号かとも思う。「関八州繋馬」の中に大文字焼の場面があり、大坂での初演の際大評判をとったが縁起が悪い、とも囁かれ、「浄瑠璃譜」によると

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