この親のところに戻すな
戻すなといってももう彼はこの世間に戻ってしまっているのである。親のところにも大過なければ帰るはこびになるのである。
残念ながら子育てに失敗する親というのはいる。親だから間違いないだろうなんてことは昨今の虐待事件など引き合いに出さずとも遠い遠い昔から子育てに失敗する親はいる。子供を間接直接に殺す親はいる。別に親の育て方がすべての根源だとはいわない。生まれついての資質などさまざま要因はあるだろう。だけれども、7年の教育の成果など、日々の生活という魔物の前にはほとんど無力だ。恐ろしいのは日常という名の現実なのである。人間の体の細胞は日々入れ替わっていく。血液は三ヶ月でまったく別物になる。その三ヶ月のマイニチのひと時ひと時が人間を作っていく。14歳は大人である。14歳でやったことの責任は自分がとらなくてはいけない。私たちが一生この子の面倒を見る静かに見守れなどという妄言を吐く親のところに戻すな。また同じ事をするとは別段いわない。ただまた同じ地獄がこの家族に訪れるということだ。社会はそれに耐えられないだろう。あの事件に社会は耐えられなかった。今度はどんな耐えがたさが訪れるのか。この親のところに戻すな。大人は自分の責任は自分で取らなくてはいけない。そうでないと人は錆びる、人は腐る、そんな地獄には社会は耐えられない。そして日本には引きこもりという名前の地獄が100万人単位で存在すると言われている。日本の陥っている深み。見せ掛けだけの平和が生み出したもの。
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