2007年12月11日 (火)

「キル」 NODA・MAP シアターコクーン 上出来でした妻夫木聡、広末涼子

キル

「キル」の再々演。人気の野田秀樹の芝居、妻夫木主演ということもあり切符を取れない。今回はプレリザーブが運良く当たった。 忙しい最中だがこれを見ないわけにはいかない。

初演は見た。堤真一がとても良かった。野田秀樹さんがイギリスから帰って、NODA・MAPとして最初の公演で、 大変期待して見て期待を大きく上回る感動をした。さて今回はどうか。

パンフで野田さんが言っているように、初演よりシンプルに、わかりやすくなっているようだった。 おそらく台詞の量も運動量もけっこう減っている。それが効果をあげて話の芯が見えやすくなり、堂々とした芝居、 古典的な芝居という感じを持った。

テーマは時を選ばない一般的なものだし、むしろ昨今の世間世界の風潮はこのテーマをより一層ハードにわれわれに迫っている、 というようなものである。デザイン。心を伝えるデザインとしての文字。言葉。昨日浅葉克己さんに伺った話ととてもシンクロした。 シンクロニシティ、セレンディピティ、というものは確かにある。というかこの世はすべて繋がっているのだから。

単純すぎる善意や単純すぎる世の解釈に苛々していたところもあって随分気持ちよくなれた。「富士山を太平洋にブン投げる」 一派の端くれとして、やる気になりましたよ。今は日本に帰ってきているらしい某旅人も自分探してる場合じゃないですよ。 ピッチ上では富士山をブン投げていたのにね。

ところで妻夫木聡。もちろん堤真一とは全く違うキャラクター。より甘い、どこか中性的な部分もある。そういうテムジンを見事に演じた。 広末涼子も良かったです。若い役者はリズム感と音程がいい。音楽がベースにあるので、彼らは舞台に耐えられるのだろう。 もっとどんどん舞台を経験して欲しい。リズム感と音程という意味では高橋恵子が意外に苦労しているように思えた。 結髪の勝村政信と人形の高田聖子、イマダの小林勝也はしっかりと脇を支えて、全体のパワーはかなりのものでした。

世界は何度でも崩壊する、崩壊してはまた産まれる夢。さて仕事しなくちゃ。

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2007年12月 6日 (木)

新版歌祭文

半蔵門

半蔵門の国立劇場小劇場で文楽。輝虎配膳、それから新版歌祭文。歌祭文はふだんあまりやらない座摩社の段、 野崎村もお婆さんが出たりなどいつもと違う本来のかたち。いやーサービスたっぷりギャグも面白く、そして泣けて、いいお芝居でした。 やっぱり文楽はいいなあ。

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2007年10月26日 (金)

三文オペラ

三文オペラ

世田谷パブリックシアター、三文オペラ。最近伝統芸能以外の観劇では、世田谷パブリックシアターにばかり来ている気がしますね。野村萬斎さんの方針が私の好みに近いと言うことでしょうか。 3時間の長丁場ということで入場前に近くの地中海料理屋でパスタとサラダを食べる。席はF8、実質最前列。前の方の三列は席を取り払って舞台にしてある。ブレヒトーワイルの古典を白井晃演出、ローリー寺西訳詞で。吉田栄作がメッキ・メッサー、篠原ともえがポリー、ローリーがジェーン、ピーチャム氏に大谷亮介、ピーチャム夫人に銀粉蝶、ルーシーに猫背椿、タイガー・ブラウンに佐藤正宏といった配役。ローリーが素晴らしかった。吉田栄作も歌はアレだけれど、存在感もありそのチンピラ属性をいかんなく活かした演技でよかたよ。篠原はもう出たところから良かった。その他ベテラン人も力発揮。

とにかく今この時代に三文オペラを愚直にやってる姿勢が良かった。今の時代におずおずと原型を差し出した感じ。すでにそのネタ部分が古典となってしまった仕掛け演劇、でもストレートにやればそれなりに力があると思った。歌舞伎ってそれずっとやってるわけだからね。少しずつ時代にアジャストさせながらね。高校生のころ、芝居にのめりこみはじめた時代を思い出したよ。歌舞伎、井上ひさしからつかこうへい、野田秀樹って時代でしたよ、ぼくにとって。ブレヒトはお勉強の中で知った存在で、こういうビビッドなかたちで上演される三文オペラははじめてです。セチュアンの善人や、コーカサスの白墨の輪などをジスイズ新劇という感じでやるのとは違うってことで。

改めてクルト・ヴァイルの音楽が良かった。音楽担当の三宅純氏がまさしく同時代のヴァイルを聞かせてくれましたよ。

というわけで、私としては堪能した3時間でした。私が高校生だった1970年代からぐるりと時代が回って、この芝居のメッセージが直截的に響いてくる時代になってしまってることにはちょっと愕然と言う部分もありますが。

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